私は受験の持つ危険性にも目を向けていきたい。特に、中学受験は子どもが幼いだけにいっそうその弊害もひどくなる。脳生理学から見た勉強と遊び中学受験の構造上の病理を分析する準備として、ここでごく簡単に人間の脳の働きについて考えてみょう。人間の脳は大ざっぱに言って三層構造からなっている。まず、一番下の層に、脳幹と呼ばれる呼吸、血液循環機能、体温調節、自律神経といった機能を司る脳がある。これらは生命維持に欠かせない機能なので、「生命脳」と呼ばれている。次に、この「生命脳」の上に、大脳基底核、大脳辺縁系と呼ばれる喜怒哀楽や食欲、性欲を支配する層がある。ここはその働きから「動物脳」あるいは「情動脳」と称されている。そして、最上位に、人間だけが巨大に発達し、脳の外側表面のほとんどを占める大脳新皮質がある。人間の知性の座であることから、「知性脳」ないし「人間脳」と呼ばれている。
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