私たちは給料を使わずに遺産を使っていることが判りましたので、次に「遺産」が気になります。産業革命が起こるまでは地球の資源、つまり人間は遺産のことなどは考える必要はありませんでした。人間は大自然に比べてとても小さく、安心してその懐に抱かれていればよかったからです。ところが、産業革命は人類の生産能力を飛躍的に大きくしたので、人間はロイヤル島のオオジカのように繁殖し、人口は急激に増え、ますます産業が発達し、ついに人間の活動は大自然と肩を並べるようになったのです。人間の活動と自然の関係を「イオウ(硫黄)」という元素を尺度にして示します。イオウは特殊な元素ではありません。火山が噴火しますとイオウが大量に放出されますし、イオウの温泉も多くあります。ツンと鼻につく臭いを思い出すくらいのありふれた元素です。また、イオウは石油精製や銅の精錬などで出ますし、工業でも大量に使用されます。大自然から毎年、大気中に放出されてきたイオウの量は太古の昔から一定ですが、人間の活動で出るイオウの量は時代と共に変化してきました。昔は人間の出すイオウは大自然から出るイオウとは比べようがないほど少なかったのですが、どんどん増え、ついに今から60年ほど前に大自然に追いついてしまったのです。そして現在では大自然が放出するイオウの実に約3倍の量を人間が放出していると推定されているのです。これを親と子どもの関係にたとえます。