福祉関連の「カテゴリー」の使用は、稼働能力をもつ世帯は住まいに困窮しないという仮説にもとづいている。しかし、労働市場の変化にともない、何らかの仕事に就いていても低い賃金しか得ていない人たちが増大した。住宅困窮の実態を捉えるには、代理指標に過度に依拠するのではなく、居住の状態それ自体を注視する必要がある。住宅保障の普遍化のために、公営住宅の供給対象を広げる施策が望まれる。そして同時に、住宅保障の手段を公営住宅のみに限る必要はない。
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デュアリズム諸国が社会賃貸住宅を公営住宅にほぼ限定し、賃貸セクターの改善に失敗したのに対し、ユニタリズム諸国が住宅市場を活用し、多彩な社会賃貸住宅の供給によって良質の賃貸セクターを育成したことは示唆的である。公営住宅の供給に合わせて、民営借家の市場に公的支援を投入し、社会賃貸セクターの多彩な住宅に家賃補助を組み合わせる方法が検討されてよい。賃貸住宅の市場では、建設に要した借入金の償還が終了し、「成熟」したストックが増えている。ここに低家賃の社会賃貸住宅を投入し、競争関係を形成すれば、借家市場全体の家賃に対する下方圧力が発生し、「成熟」に達したストックは低家賃化する。このメカニズムはユニタリズム諸国がすでに用いている。公営住宅の制度を拡充すると同時に、賃貸住宅市場の再構築によって、住宅保障の手段を増やす施策が必要かつ可能である。重要なのは、住宅困窮の定義を再構築したうえで、それに当てはまる人たちの全員に住まいを保障する普遍的な政策の形成である。