私は突然地方支店の支店長を任されました。それこそ盆暮れ正月以外どころか一年間に355日働き、それなりの実績をあげ、志願して生まれ故郷の旭川に転勤しました。ところが前任者を引き継いで旭川に赴任したとたん、マンションの管理組合の理事長や役員に「お前のところのマンションは結露がひどい」と吊るし上げられました。前任者からは「その問題は解決済みだ。壁を張り替えて直しているんだから、もう相手にするな」と言われていました。私自身も最初は「終わった話を蒸しかえすのは、結露のクレームで不当なサービスを要求する物取りだろう」と考え、対処しました。こちらは長年のクレーム処理の経験があり、お客さんは素人です。「気密性の高い住まいに結露が出るのは仕方ないことです。生活の工夫でうまく暮らしているお客さんもたくさんいます」などと言い逃れるのは簡単なことでした。壁につけている熱交換形換気のカバーを開けて、フィルターが汚れていれば「掃除しないことが原因です」と決めつけ、きれいな状態であれば「スイッチを入れていませんね。電気代がもったいないからですか?」と皮肉にたずねました。さらに「このような植物を室内に置いて(あるいは洗濯物を干して)結露が出ないほうがおかしいですよ」と、逆にお説教が始まります。それでクレームがおさまれば、同し手を何度も使うのが人間です。