パートタイムの仕事を通じて、職業能力を高めることができるということも欠かせない。しかし、パートタイマーの低賃金には、日本ではより複雑な構造がある。戦後の雇用構造は、正規社員で働く夫と専業主婦で働く妻という世帯をモデルとしてつくられてきた。妻はあくまでも夫の扶養家族の範囲で「パートに出る」ということであり、それを税や年金の制度が支えてきたのである。同時にパートタイマーとして働く人の満足度は、低賃金にもかかわらずきわめて高く、それゆえに問題にもならなかったのである。
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そのような構造がもともとあるところに、若年を中心とした非正規雇用の拡大があり、それがミドル年齢の階層にまで広がってきたことで、非正規雇用の処遇問題が浮上してきたのである。そのため、単に均等待遇の推進をするだけでは本質を変えることはできないと考えられる。そもそも、どのような世帯の姿を描き、どのような税や年金の体系を描くのかという問題とセットで議論しなければならないはずである。そこに日本の議論の難しさがあると思う。